はじめに|家づくりは「土地探し」から始めるべきか?
家づくりを考え始めると、
多くの方が最初に動くのは「土地探し」です。

・スーパーに近い
・学校が近い
・南向きで日当たりがいい
・価格が予算内
条件の良い土地を見つけて、
「この土地にどんな家を建てようか」と考える。
一見すると、自然な流れに見えます。
しかし実は、
この順番こそが家づくりの失敗を生む大きな原因だと、
私たちは考えています。
「土地先行」が失敗しやすい理由
土地から探すと、多くの方が次の流れになりがちです。
- 条件の良い土地を見つける
- 予算の大半を土地に使う
- 残った予算で家を考える
この時点で、
家の自由度は大きく制限されます。
・希望の間取りが叶えられない
・性能にお金をかけられない
・キッチンや浴室など設備機器を妥協せざるを得ない
・外構や将来のメンテナンスまで手が回らない
結果として、
**「土地は満足、家は妥協」**という家づくりになります。
「いい土地」=「いい家が建つ土地」ではない
多くの方が誤解しているのが、
「いい土地に、いい家が建つ」という考え方です。
実際には、
・形が整っているが、建物の配置に制限が多い
・南向きだが、周囲の建物で日が入らない
・価格は安いが、造成や地盤改良で費用がかさむ
という土地もあります。
見た目や立地条件が良くても、
**家づくりの視点で見ると“難しい土地”**は存在します。
田村工務店が「土地を先に決めないでと伝える」理由
田村工務店では、
土地を契約する前に、必ず建築の視点を入れることを大切にしています。
理由は単純です。
土地は、
「家を建てるためのひとつの要素」であり、
すべてではないからです。
実家の建て替えなどですでに土地が決定している場合を除けば、
十分に検討するべきものではあるが、
真っ先に決めるべきものではありません。
どんな家を建てたいのか
どんな暮らしをしたいのか
どんな性能を確保したいのか
それが決まらないまま土地を買うと、
後から取り返しのつかない家づくりの制約になります。
土地の選び方を間違えると、建物の予算だけでなく、
将来の家計にも大きな影響を与えます。
家を建てたあとに苦しくなる人の多くは、
この段階ですでに無理な選択をしています。
その違いについては、こちらで詳しく説明しています。
土地には「見えないコスト」が必ずある
土地の価格だけを見て判断すると、
後から想定外の費用が発生します。
代表的なものが次の項目です。
・理想の間取りが入らない広さだった
・地盤改良費
・擁壁・造成工事
・上下水道の引き込み
・高低差処理
・隣地対策・境界調整
・建蔽率や容積率の制限
結果として、
建物に使うはずだった予算が削られていきます。

「土地に合わせて家を考える」と設計は歪む
土地に先に縛られると、設計はこうなります。
・理想ではなく土地に収まるようなデザインになる
・採光が取れず、窓が増えてしまう可能性が増す
・理想の動線や間取りの妥協に繋がりやすい
・性能より形状優先になる
つまり、
暮らしやすさ・性能・将来性が犠牲になりやすいのです。
これはデザイン以前の問題です。
正しい順番は「家 → 土地」
私たちが推奨している順番は、明確です。
- 暮らし方を整理する
- 予算と資金計画を固める
- どんな家を建てたいか決める
- その家が建つ土地を探す
この順番で進めると、
・無駄な土地を買わない
・建物に必要な予算を確保できる
・設計の自由度が大きく広がる
結果として、
同じ予算でも、はるかに満足度の高い家になります。
盛岡・岩手という地域で特に注意すべき点
盛岡周辺では、特に次の点が重要です。
・積雪を考慮した配置
・冬の日射取得
・発展エリアと衰退エリア
・道路除雪と駐車計画
・周辺道路の勾配(路面凍結時の安全性)
これらを考慮せずに土地を選ぶと、
住み始めてから
「冬が想像以上につらい家」になります。
土地選びは、不動産会社だけにまかせずに、
地域の気候や家づくりを理解している工務店も交えて一緒に行うべき工程です。
土地は「選ぶもの」ではなく「活かすもの」
本当に良い土地とは、
条件が完璧な土地ではありません。
仮にあったとしても、それが予算内に収まるかが重要です。
現実的な家づくりに適した土地は、
・設計で弱点を補える土地
・性能で環境を改善できる土地
・暮らし方に合った土地
つまり、
**家づくりの力で“いい土地に変えられる土地”**です。
土地と家は、
切り離して考えるものではなく
必ずセットで考えるべきものです。
まとめ|土地選びで家づくりの8割は決まる
土地選びを間違えると、
・設計の自由度が下がり
・性能にお金をかけられず
・将来の暮らしが制限されます
逆に、
正しい順番で土地を選べば、
・間取りの検討も幅が広がり
・性能も確保しやすく
・長く快適に暮らせる家になります
土地は「ゴール」ではなく、
家づくりのためのスタート地点です。
その順番だけは、
間違えずに進めていけるように願っています。